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食物依存性運動誘発アナフィラキシー

食物依存性運動誘発アナフィラキシーというアレルギーがあるのをご存知ですか?食物だけでなく、食物+運動によって症状が引き起こされるアレルギーです。今回はこのアレルギーについて注目していきたいと思います。

特定の食物を食べた後、数時間以内に運動をすることでアナフィラキシーを発症する食物アレルギーを、食物依存性運動誘発アナフィラキシー(food-dependent exercise-induced anaphylaxis:FDEIA)といいます。食べるだけ、運動をするだけでは起こらないのが特徴です。昼食後の休み時間や5時間目の体育の時間、運動系の部活の時間に起きやすいことが報告されています。

初めて発症するピークは10~20歳代で、男子に多くみられる傾向があり、中学生の6000人に1人の頻度でみられることが分かっています。症状は全身のじんましんやむくみ、せき込み、呼吸困難などで、進行が早く、約半数は血圧の急激な低下でショック症状を起こすため、救急車を呼ぶなど迅速な対応が必要です。

アナフィラキシーとは、全身の複数の臓器(皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、循環器など)に症状が現れる状態のことで、さらに血圧低下や意識障害などのショック症状を伴う場合をアナフィラキシーショックといいます。症状が短時間で進行して重篤な状態に陥り、命の危険を伴う可能性があるので、速やかな治療が必要です。至急救急車を呼び、エピペン(アドレナリン自己注射薬)を処方されている場合はすぐに使用します。

原因となる食物は、小麦とエビやカニなどの甲殻類が多く、最近では果物も増えています。球技やランニングなどの比較的激しい運動が誘因となることが多いですが、散歩などの軽い運動や入浴で発症することもあります。食後2時間以内の運動による発症が大部分ですが、原因食物と運動が組み合わさると必ず症状が出るとは限りません。

誘発のしやすさにはいくつかの要因が関与します。例えば、疲労、寝不足、風邪、ストレス、月経前、高温・寒冷・湿度などの気象条件、アスピリンなどの解熱鎮痛薬、アルコール摂取、花粉飛散時期などが発症に影響すると言われています。

【参考】食物アレルギー診療ガイドライン2016より

原因食物の摂取と運動の両方によって引き起こされるアレルギーですから、運動前に原因食物を摂取しないこと、原因食物を摂取した場合は食後最低2時間は運動を避けることが原則です。その他には、解熱鎮痛薬の内服に注意することや、皮膚の違和感など前駆症状が出現した段階で安静にし、必要に応じて投薬や医療機関を受診することも大切です。また、頻回に発症する場合や重症な場合にはエピペン(アドレナリン自己注射薬)を携帯させることが望ましいです。

しかし、過度に心配するあまり、原因となる食物を完全除去したり、運動を過剰に制限したりすることは、患者本人のQOL(Quality of life)を損なうことにもつながります。それを防ぐためには、本人や保護者の正しい理解と対策が必要なのです。

食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、原因となる食物+運動によって引き起こされるアレルギーです。原因となる食物が何かをきちんと把握し、食後最低2時間は運動を避け、いざという時にも速やかに対応できるよう対策をしておくことが大切です。過剰な制限をしなくて済むよう、正しい理解と対策を準備することが、本人の健康とQOLを守ることに繋がります。

管理栄養士:さっちー

マリヤ・クリニックの管理栄養士。
二児のママで長男は乳アレルギー持ち。
子供が喜ぶ美味しい食事を目指して日々奮闘中!